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Date:2011.02.19

I'm sorry,I love you...act.19

なかなか更新できなくてすみません

今日は久しぶりにI'm sorry,I love you...の更新です!

短いです!予告を裏切って蓮が出てきません!ごめんちゃい←キモッ!!

しばらくほっておいた間に文章の書き方?みたいなのが変わったように思います。気のせいか?

だからなのかは分からないけど、以前のを書きなおしたくてしょうがない

でも時間がないんだなぁ~これが。。。



明日からまた旅行。しかも今回は実は初めての一人旅行なんです

典型的なA型、インドア派、引っ込み思案な私にとってはそれはもう大冒険であります!!

怖くて今日眠れるか心配っスね( ̄▽ ̄;)



次回は溜まりに溜まったコメレス予定です。

書きたいのもそうだけど、みなさんの素敵なお話を読みたい気持ちもあるんだけど……。

1日が48時間くらいあったらいいのになぁ



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Date:2010.07.12

京都、恋物語。 第2話

旅館で一番広い大宴会場では毎日朝礼が開かれる。

女将、旦那、若女将、若旦那、料理長(うちの場合は旦那さんが兼業)を上座にするのだが、今日もまた1人人数が揃っていなかった。

「京子さん、松太郎はいないんですか?」

昨日も電話したけど留守電だったし、メールを送っても当然返事はなかった。

女将には何を言っても無駄な事は分かっている。だから私は反論なんてしない。頭を下げて数分我慢すれば解放されるんだから・・・。

「・・・申し訳ありません。」

「俺ならここにいるぜ。」

まさに京子が頭を垂れたその瞬間、座敷にいた全員が部屋の入口の襖にもたれ掛かっている男を注視した。

男は旅館に似合わない程に髪を金色に染め、ジーンズにレザーのジャケットを合わせ、歩けばジャラジャラと音がするほどのアクセサリーを身に着けていた。

「松太郎、何ですかその格好はっ!正装しなさい!」

いつもは冷静な女将もこればかりは堪えたらしい。頬を真っ赤に染めて全身を打ち震わせるほど怒りに満ちていた。

「うるせぇなぁ。京子が何度も何度も電話してくるから来てやったのに、もう帰るからなっ!」

そう言って部屋を出て行こうとした松太郎はふと足を止め、上座へ目線を向けた。

「京子、お前は俺のストーカーか?!しつっこいんだょ!二度と電話もメールもするなっ!!」

そう言ってスパンッと襖を閉めた松太郎を女将は追い掛けて座敷を出て行ってしまった。



―――ザワザワザワ。

「若旦那、さらにすごい格好になってたわねぇ。」

「えぇ~、かっこいいじゃないですかぁ!私若旦那の顔なんて初めてみました。」

「あんなのが若旦那だなんて・・・この旅館潰れるんじゃない?」

「それにしても”ストーカー”だなんて・・・若女将は自分の妻でしょ?!信じられない!」

仕切り役の女将がいなくなった途端、従業員達は口々に好きな事を話し始めた。

もちろんヒソヒソと小声で話しているけど、私の耳にはちゃんと届いていた。

だからって傷ついたりしない。

これが私の日常、死ぬまで続く運命なんだから―――。

「みなさん、お騒がせしました。それでは今日も一日、お客様に快適なお時間を提供できるように頑張りましょう。」

「「「「「よろしくお願いします。」」」」



挨拶を済ませて自分の持ち場へと戻る従業員達を見送り、ひとり座敷に残された京子はやっと肩の力を抜く事が出来た。

「はぁ~・・・」

まだ朝だって言うのに指1本も動かしたくないほどに疲れてしまった。

それにしても、何だって松太郎は朝から顔なんて出したんだろう?いつもなら無視してくれるのに。

私だってあいつに来てほしいなんてこれっぽっちも思っていない。

どうせ来たって仕事はしないし、文句ばかりで女将さんの逆鱗に触れるだけ。そのとばっちりを食うのは当然私だ。

女将さんの手前、一応連絡はしたけど掛けたのは一度だけ。もちろん留守電も残していない。

メールだって”女将さんが出て来て欲しいそうです”とだけ入力した。

なのに”何度も何度も掛けてくんな”なんて、何を考えてるのかさぱり分からない。

「今日は長い一日になりそうだわ・・・」

京子はそう呟くを思い腰を上げて座敷を後にした。



***



「若女将、若女将!」

ロビーを通りかかると、今年の4月から入ったばかりの仲居に呼びとめられた。

柱からひょっこり顔を出して嬉しそうに手招きする姿はとてもかわいくて、京子は思わずくすっとわらいながら足を運んだ。

「真樹ちゃん、どうしたの?」

「さっき番頭さんに予約の受付の仕方を教えてもらってたんですけどね、その時ずっごい予約が入っちゃったんですょ!」

「すごい予約?」

「今年の9月から始まるドラマの撮影が京都であるんだけど、うちの旅館を使わせてほしいんですって!」

「ドラマの撮影?だめよ、そんなの。うちは一切お受けしていな事知っているでしょ?」

京都でも指折りの老舗旅館。

これまでも撮影依頼があったけど一度も受けた事はない。それが女将さんのモットーでもあるからだ。

「撮影じゃなくて宿泊ですよ、宿泊!」

真樹ちゃんの話によると、主演俳優の所属事務所の社長さんが撮影の1か月間、スタッフと出演者全員をここに泊めたいらしい。

総勢89~133名の大所帯(その日によって人数は変わるらしい)だけど、俳優陣だけは個室でスタッフは大宴会場を貸し切って雑魚寝で構わないとの事。

お布団一式や足りない備品は言ってくれれば事前に用意するという何とも壮大な話に、開いた口がふさがらないとはこの事だな、と思ってしまった。

「話を聞いた女将さんも喜んでましたよ!」

「お、女将さんが?OKしたの?」

「はい。だって考えてみて下さいよ。1か月間89~133名の団体客。いくらだと思います?」

そう言った真樹ちゃんの口元はニヤニヤ緩みっぱなしで思わずつられそうになったけど、はっと我に返った。

「ま、真樹ちゃん、下品な話は慎みなさい。」

「はぁ~い。でも楽しみぃ~!女将さんも一緒に撮影見学しましょうね♪」

「そうね。」



真樹ちゃんは本当に可愛い子だと思う。

今年高校を卒業してうちに来た未来への希望に満ちあふれた彼女がただただ眩しかった。

私だって2年前までは絶望の中にも微かに光る希望が、高校さえ卒業すればここを出ていけるという希望があった。

それも高校卒業と同時に勝手に進められた松太郎との結婚で打ち砕かれた。

それから2年、私は未だに暗闇の世界から抜け出せてはいない。それどころか私にはもう抜け出す気力すらない。

未来への希望も、日々の楽しみも、私には何もない。

あるのはただ、この旅館で名ばかりの女将として馬車馬のように働かされる未来だけ―――ただ、それだけ―――。







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(。-ω-。)-------------------------------------------------あとがき-------------------------------------------------(。-ω-。)



まさかとは思ったけど・・・長編決定だwww


Date:2010.07.12

京都、恋物語。 第1話

地球の人口68億人。日本の人口1億3千万人。
こんなにたくさんいるのにどうして私が選ばれたのだろう?どうして運命は私を選んだのだろう?
今さら抗えない。嘆いてもどうしようもない。痛いほど分かっているのに今日もそんな無駄な事を考えてしまう私は、なんて愚かなのだろうか……。


***


私の朝は着物を着る事から始まる。
その日の天気や客層、さらにはロビーに生けるお花の色までを頭に入れて着物や帯締めを決める。こんなところにも心遣いがあるなどと気付いているお客様は居ないかもしれない。
だけど私はこの作業が嫌いではない。いや、むしろ好きだとさえ思う。
それは身に着けているだけで気が引き締まる着物が好きだというのもあるけれど、何よりも私がいるこの空間と一心同体になれたような気持ちになれるからなのかもしれない。私がいるべき場所はここなのだと、嫌でも思わせてくれるから……。


「若女将!15時着の団体さんの予定が変更になって13時には着くそうです!どうしましょう?!」
ロビーでお客様にお茶を出して館内の説明や近場の観光スポットの説明をしていると奥から一人の仲居が小走りで近づいてきた。
「お騒がせして申し訳ありません。それではごゆっくりお寛ぎ下さい。失礼致します。」
キョーコはゆっくり頭を下げると向き直り「ちょっと……」と仲居を物陰に誘導した。
「お客様の前で大きな声は出さないで下さい。まずは落ち着いて。女将さんと料理長に伝えて下さい。
 それとお部屋の準備は最優先でお願いします。他のお客様は16時以降に到着なさるから後からでも間に合うでしょ。」
「は、はい。」
「団体さんと言っても12人。焦らなくても大丈夫ですょ。」
そう言ってにっこり笑えば少しでも気が紛れたようで、若い仲居はほっとした顔で事務室に向かって行った。
「はぁ、12人か……大変だわ……」
仲居にはああ言ったけど団体客が2時間も早く到着する事はとても大変な事だ。それに伴って変更しなければならない事が山ほどあるし、変更になったからこそいつもよりも完璧に対応しなければいけない。
しかも予定が変更になったお客様は少なからず機嫌を損ねている事が多く、少しも気を抜けないのだ。
普段よりも気を引き締めなければっ!
キョーコは小さく拳を握り締めると「よし」とばかりに一度頷き、カウンターの奥へと入って行った。


***


「今日は突然の事で大変だったと思いますが、皆さんが頑張ってくれたのでお客様に不快な思いをさせる事もなく終える事が出来ました。 これからもこんな事があると思います。普段から心に留めておけば焦らず済みます。それではお疲れ様でした。また明日もよろしくお願いしますね」
1日が終わると女将が全従業員を集めて挨拶、つまりは反省会をするのが当旅館の決まりだ。
もしかしたら接客時よりも緊張するかもしれない女将の挨拶が終わると、従業員は皆其々の持ち場へと戻って行く者、部屋へ戻って行く者で多少賑わう。
キョーコも例外ではない。が、それが許される事は皆無に等しい。
「若女将、あなたはちょっと私の部屋へ来て下さい」
皆が部屋を出た事を確認してから、もしかしたら今日は何事も無く部屋に戻れるかもしれないというゼロに等しい期待を込めて立ち上がろうとした瞬間、女将の低い声が響いた。
やっぱり今日も簡単には終わらせてくれないのね……。
女将には見えないように顔を下に向けたまま自嘲気味に笑みを零すと、諦めたような生気のない声で「はい」と返事を返す。
擦り足で音も無く歩く女将の後ろを、まるで売りに出される子牛のようにキョーコはとぼとぼと歩いた。


女将の部屋とは普段は使わないただの休憩用の部屋を指す。
道順をちゃんと覚えていないと従業員ですら時には迷ってしまうほど旅館の奥に位置し、とても静かだ。襖を開けても廃れた小さな庭が眼下に広がるだけで、隔離されているような場所。しかし当の女将は休憩時間もカウンター裏の事務所に詰めていて、この部屋では休憩する事など皆無だ。つい先日も”館内にある離れ”として客室用に改装したらどうかという案まで出た。
だけど私は皆が好きだと言うこの部屋が正直好きではない。

「今日はお疲れ様でした。慌てる仲居に掛けた言葉と笑顔は女将らしいく、とても素晴らしいものでした」
また影から見てたんだ……。
「ありがとうございます」
スっと差し出された湯のみに手を掛けると「やっぱりね」と思う話が始まった。どうせこっちが本題だろう。
「ところで、今日も松太郎の姿が見えなかったけど、どういう事かしら?」

「それが・・・私も連絡してるんですが繋がらなくて・・・」

この言葉を聞いた女将の空気が一瞬で変わったのが分かる。

「っ・・・申し訳ありません。」

三つ指をついて頭を下げると、女将はいかにもわざとらしい溜め息を漏らした。

「はぁ~全く。男一人もまともに相手できないで、いずれはこの旅館を継げると思っているの、キョーコさん?」

「・・・」

「男なんて身体と甘い言葉で繋ぎとめておけばいいの。そんな事もできないから松太郎が外に女を作るんですょ?!」

「・・・はい・・・申し訳」

「謝らなくていいわ。明日は松太郎にも仕事をさせなさい。いい加減に若旦那としての仕事を覚えて行かないと私が恥ずかしいわっ。

 組合でもまた何て言われるか・・・そう思うと憂鬱で仕方がないわ。若女将のあなたがしっかりしてくれないと困るの。分かるわね?」

「はい・・・」

「はぁ・・・今日はもういいわ。部屋に戻りなさい。」

「お疲れ様でした。失礼致します。」



所作に気をつけながら部屋を出て向かったのは、旅館の裏手にある森の中。

暗いけど慣れた場所だから怖くなんてない。逆にだんだんと近づく水音に心が弾むようだ。

小さな小道を抜けると開けた場所に辿り着いた。

「気持ちいい~」

水辺の岩に腰を下ろし足袋を脱いで足を水へ浸すと、1日中立ちっぱなしだった足が解れていくような感覚がする。

この場所に始めて来たのは私が子どもの時、まだ6歳になったばかりだった―――。



***



「お母さん、ここどこ?」

母親に手を引かれて来た場所は大きなお城のような家だった。

普段は手を繋いでもらう事もなくて、初めて繋いでもらった母の手が温かかった事だけは今でも覚えている。

「キョーコ、ここでお別れよ。今日からは女将さんがあなたを育ててくれるから、我儘を言って迷惑を掛けないようにしなさい。」

それだけ言うと玄関で出迎えた男女に軽く頭を下げ、一度も振り向く事もなく去って行った。

「お母さ~ん、どこ行くの~?私も行・・・きゃっ!」

必死に追いかけたけど大人の歩幅に追いつけるわけもなく、足が縺れて転んでしまった。

私が泣き叫んでも振り向きもせず、立ち止まりもせずに去って行った母の背中は冷たかった。



それからは学校に行けば捨て子だといじめられ、帰れば旅館の手伝いをさせられた。

何不自由なく育てられたが、何かがいつも足りなかった。

それが何なのか知った時、すべてがどうでもよくなってしまった。

子ども心にも母に捨てられた事が分かったし、社会の勉強で”丁稚奉公”と言う言葉を知った時は妙に冷静に自分の立場を受け止めた。

でも本当に逃げ出したいと思った時には、すでに手遅れ。



あの頃に戻れるのなら、何をしてでもここから逃げ出したい。

今日も私は無駄だと知りながらも微かな希望に思いを馳せた―――。


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(。-ω-。)-------------------------------------------------あとがき-------------------------------------------------(。-ω-。)


コミック25巻を見てさらに松太郎が大っ嫌いになった。
そして思った。
松太郎を思いっきり悪者にしてやろう(▼皿▼メ;)
すでに大嫌いなのにさらに大嫌いになるようなお話は逆効果な気もするけどもういいの。
きょこたんには申し訳ない内容だけど……。
Date:2010.06.23

I'm sorry,I love you...act.18

I'm sorry,I love you…act.18


リアに連れられて入った部屋にいたのはまるで妖精のような男性だった。
背が高くがっちりとした体格で、私は見降ろされているような形になっていた。
【急に呼び出してしまって申し訳ない。身体は大丈夫ですか?】
さすがフランス人、と言うか、さすが外国人。
さらっと自然に且つ優雅に私をソファへとエスコートしてくれた。
【あ、ありがとうございます///】
私の横にリアが座り、向かいにはその男性、おそらく社長が腰を下ろした。
【突然ですが時間もないので手短にお話します。】
【は、はい・・・】
【出産を終えたら私の会社で働きませんか?】
【・・・え・・・えぇっ?!】
あまりにも突然で何が何やら分からず、思わず立ち上がってしまった。
そのポーズがあまりにも滑稽で2人に大笑いされ、すぐに正気を取り戻して座り直した。
【は、働くって言っても私は】
【大丈夫よ。今まで言ってなかったけどうちの会社は”lumiere”なのよ。】
【”lumiere”って・・・・・・うそ~~~~~っ!!】


”lumiere(ルミエール)”
知らないはずがない。
そんなに大きくはないブランドで日本に正規店はないけど、仕事が終わる度に自分へのご褒美にひとつずつ買っていた。
日本を出ようと決めた時、真っ先にルミエールのようなジュエリーを作りたいって思った。
どん底にいた私の唯一の救いがルミエールだった。
だから迷わずフランスに渡った。少しでも”ルミエール”に近づきたかったから―――。
【黙っててごめんね?キョーコがジュエリーデザイナー目指してるって知って言えなかったのよ。
 正直、コネを期待する人もいるし・・・別にキョーコがコネを使うって思ったわけじゃないのよ?!でも・・・】
【リア、気にしないで?私でもきっと黙ってたと思う。それに、聞いてたらコネを使おうとしたかもしれないし。】
【そんな事ない!キョーコはそんな事しないって分かってる!
 正直言うとね、最初はそう思ってた・・・でも今なら断言できる。だからスケッチブックを見せてって行ったのよ?】
【スケッチ・・・やだっ!私ってばプロにあんな物見せたなんてっ///】
キョーコが両手で両頬を挟むと、その頬はみるみる真っ赤に染まって行った。
【あんな物だなんてとんでもない。これをリアから見せてもらった時の衝撃、分かりますか?】
【・・・どういう意味ですか?】


【あなたはまだ勉強を始めて間もない。なのにこのデザインセンスはプロとしか言いようのない物だ。
 もちろんデッサン等はまだ粗削りですが、それは経験を積めば自然と身に付くものです。
 学校に行く事も重要ですが、貴女の場合はそれが仇となる可能性の方が高い。そう思ってリアは私にこれを見せたんです。】
【仇、ですか?】
わけが分からないと顔に書いてあるキョーコに向かってリアは笑みを零しながら話し始めた。
【ジュエリーってファッション的に洋服の引き立て役みたいな感じがあるでしょ?まぁ中には主役にするようなものもあるけど。
 ”ルミエール”のコンセプトは違うわ。ジュエリーはあくまでわき役。だけど主役を引き立たせる為に時にはそれ以上のインパクトが必要なの。分かる?】
【ええ・・・】
(これってお芝居の考え方と似てる気がする・・・。)
【だけど一般大衆的にはうちみたいなコンセプトって伝わりにくいの。だからいつまでたっても世界的なブランドにならないのよ!】
【リア。話がズレてる。】
【失礼。それで・・・何を離してたのか分からなくなっちゃったわ。ちょっと待ってね・・・えぇっとぉ・・・】
社長は心底呆れたように盛大な溜め息を零し、キョーコの方へと向き直った。


【1年ほど前から”ルミエール”を3部門に分けました。1つはもともとのコンセプト通りに引き立て役。 
 2つめは高級感。ジュエリーの需要は正直富裕層の方が高いからね。ファッションショーとかタレントに使ってもらうための宝石。
 そして3つめは―――親しみやすさ。】
【親しみやすさですか?】
【そう。若い子やあまり高価なものには手が出せない人でも手に取れるけど、質を落とした流行遅れのデザインではないジュエリー。
 だけど富裕層やファッションショーでも引き立つジュエリー。この3つめがどうしても軌道に乗らなかったんです。】
【確かにとてもいいコンセプトだと思うけど・・・難しそうですね。】
リアと社長は目で会話をしたかのように口元だけで笑った。
【その時にキョーコのデッサンを見たの。もうコレだっ!って直感したわ。ボスにも見せたら大喜びであなたに会いたいって言うから呼んだのよ♪】
【私のデッサン?】
【可愛いのにさりげなく豪華なデザイン。かと言ってゴテゴテしてない上品さ。何よりカットや曲線へのこだわり。
 どれをとってもボスの思いを形にできるのはキョーコしかいないって思ったわ。】
【そ、そんな・・・ちょっと待って!私なんてまだ勉強も始めたばかりでとてもブランドのデザイナーなんてできないわっ!それに・・・】
【うちのコンセプトやキョーコのデザインって正直大衆向けじゃないの。だから学校では絶対に認められない。ありきたりなものに修正されちゃうの。
 そうなったらあなたのデザインはどこに行くの?そのへんにある物と同じ物を作って満足するの?】
【・・・】
私は何も言えなかった。
リアの言う事の意味が良く分かるから・・・。


少しの沈黙の後、社長はこう切り出した。
【あまりにも突然の事で戸惑うでしょう。返事を急がせるつもりはありません。ただ、私達の思いを知ってもらいたい。
 まず、デッサンの授業が始まるまでは学校に通って下さい。知識はいくらあってもあまる事はありませんから。
 でもデッサンの授業は一切受けてもらっては困ります。うちに来てもらえればあなたの個性を壊さないようにデッサンを教える手筈を整えておきます。
 それから出社は出産後落ち着いてからで構いません。必要なら会社に託児所も設けます。
 今は家庭がある社員がいないので気中が分かりませんが、あなたの希望を全て聞きます。
 最後―――これが一番大切です。】
【は、はい・・・】
【あなたにはうちの専属になってもらいますが時期が来るまでは口外しない事。他社との接触は一人でしない事。デザインは会社の外に持ち出さない事。
 細かく言えばもっとありますが、それは後ほどリアに書類にしてもらいますから目を通して下さい。】
そう言ってリアに合図すると、今まで見た事もない真剣な表情のリアが音もなく頷いた。


キョーコは思わず生唾を飲み込んでしまった。
社長は淡々と話すから分からないけど、客観的に聞いてみればものすごい事を言われているのが分かる。
正直・・・怖気づいていた。
ジュエリーデザイナーになるって決めてフランスに来たけど、ここまで本格的にやるつもりはなかった。
路上で売ったり委託したり、そのうち小さなお店をかまえて子どもたちと3人で細々と暮らしていければいいと思っていた。
だから今のこの状況が他人事のように思えるのも真実で、どこか傍観しているような気がする。
そんな私の思いとは裏腹に自体はどんどん進み、新しい世界へ足を踏み入れる事になった。





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宝石の事とかブランドの事とか詳しくないからツッコミは禁止で(笑)
次回から日本に戻る=蓮さま久しぶりに登場!!の予定w









お手数ですがプラウザでお戻りください\(_ _*)m(_ _)m(*_ _)/

Date:2010.06.23

I'm sorry,I love you...act.17

I'm sorry,I love you…act.17


今日は午後一で検診がある為、学校を早く終えた。
ちょっと早めに学校を出て持って来たお弁当を公園のベンチで広げると、近くにいた男の子が近づいてきた。
【おいしそうだね!】
【ありがとう。食べる?】
そう言ってお弁当を差し出すと、後ろから歩いてくる母親の顔色を伺った。
【ママ、貰ってもいい?】
【ダメよ。お姉さんはお腹にお赤ちゃんがいるの。たくさん食べなきゃ赤ちゃんがお腹すかせちゃうでしょ?】
その言葉を聞いた男の子は私のお腹をしばし見つめ、にこっと笑ってみせた。
【赤ちゃんにいっぱいご飯あげてねっ。】
男の事お母さんは手を振りながら帰って行った。


来たばかりの頃は通じない言葉と見慣れない風景に圧倒されてしまって、いつも視線を落としていたけど
今はこうして堂々と前を向いて歩いていられる。
ちょっと見方を変えただけなのに、こんなにも色彩豊かで華やかな街に目を奪われる。
「この子達もいい子に育つといいなぁ・・・」
もう誰の目から見ても妊娠している事が分かるくらいに大きくなったお腹を撫でていると、携帯が鳴った。


TRRRRRRR TRRRRRRR
【もしもし、リア?こんな時間にどうしたの?】
【検診は何時に終わる?】
【いきなりどうしたの?多分15時には終わると思うけど・・・】
【15時・・・間に合うわね。悪いんだけど、住所言うから私の会社に来てもらえないかしら?】
【忘れ物でもしたの?】
【ま、まあね。とりあえず来てもらえるとすっごく助かるの。もちろんタクシー使っていいから。お願いっ!】
何か腑に落ちないような気がしながらも、検診が終われば暇だしなぁ~と思いながら手帳に住所をメモして電話を切った。


***


タクシーが着いた場所は高層ビルが立ち並ぶビジネス街。
その中でもひと際目立つ超高層ビルがリアの会社の住所だと言われて呆然とした。
【キョーコ。いきなり呼び出してごめんね~?】
ホテルのような回転扉から出て来た見覚えのある女性がリアである事に気付くまで10秒くらいかかった気がする。
【リ、リアっ!ここがあなたの会社なの?!小さな会社って言ってたじゃないっ!!】
【何か激しく誤解してない?うちの会社はこのビルの8階にある1室だけ。7階まではテナントが入ってるから、実質”最下層の会社”よ?】
【そ、そうなの?】
【当たり前じゃない・・・っと、それより時間がないから来てっ!】
未だに頭が正常に働かない状態のまま、リアに手を引かれてどんどんビルの中へと入って行った。


エレベーターが8階に着き扉が開くと、落ち着いた色調のフロアに足を踏み入れた。
【ステキ・・・】
【でしょ~?仕事柄いつも落ち着かない場所にいるから、せめてオフィスでは落ち着いていられるようにってボスの方針なの。
 絨毯であれ家具であれ全部自らの目で確かめなきゃ納得がいかない人だから、2か月以上家具選びに付き合わされたのよぉ~。】
【ねぇ、何の会社なの?】
そう聞くと彼女はふふふと笑いならが廊下を進み、一番奥の扉の前へ私を誘導した。
【ここが私が1日の90%を過ごす第2の我が家よ。】
私の方を見ながら後ろ手で開けられたドア。
その部屋はリアらしくない落ち着いた部屋で、掃除も綺麗にされていた。
【リアってお掃除できるんだ・・・】
【失礼ねっ。会社で掃除してると家で掃除する気になれないのよっ。もともとは綺麗好きなのっ!】


【楽しそうにしている所申し訳ないんだけど、そろそろこっちに来てもらってもいいかな?】
私もリアもココが会社だと言う事をすっかり忘れていた。
いつものようにおしゃべりして笑って小突き合っていると、リアの部屋のさらに奥になる扉の向こうから男性の声が聞こえた。
【私ったら・・・こっちよ、キョーコ。】
【え、私も入るの?!】
リアは社長秘書。その秘書室の奥にある部屋って言ったら一つしかない。
さすがの私にでも分かった。
【大丈夫。私も一緒にいるから、ね?】
そう言うリアに半ば強引に部屋へ通された。
部屋は淡いアイボリーの毛足の長い絨毯が敷き詰められ、黒で統一された家具が上品に置かれている。
壁は一面カラス張りで、部屋の入口に立つ私からは下層が見えない。部屋が空を飛んでいるような錯覚さえ覚える。
そのガラス窓の前に置かれた重厚な机と椅子。
すっと立ち上がった金髪の男性が、まるで空に浮かんでいるかのように見えた。


【君がキョーコだね。本当に”ジジ”がよく似合う。】





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まだまだっ!!









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